カランコエの再生 切り戻し/植え替え/挿し木
2019年07月21日
昨年は管理不行き届きで夏以降の生育に支障をきたし、モチベーションが下がったことでカランコエ記事が一つもありませんでした。今回はこの変わり果てたカランコエに再び花を咲かせる、9か月の再生ミッションをお届けします。
2 春の切り戻し
2.1 切り戻しと植え替え
2.2 置き場所と水やりと肥料
2.3 春の挿し木
3 夏の切り戻し
3.1 地際から3節目あたり
3.1 夏の挿し木
4 カランコエは短日植物
4.1 限界暗期
4.2 短日処理
5 開 花

昨年の梅雨明け直後に真夏の日差しに数日間当ててしまい、葉焼けを起こしてからは元気のないままで、再生させるには暑すぎる時期でしたので翌春まで待つことに(写真は今年の5月10日現在のものです)。
葉焼けを起こす仕組みは二つあります。
※強い光の元に置かれた植物は、光合成に利用する以外の余った光エネルギーによって活性酸素が発生し、それが細胞に悪さをする。
※細胞は高い温度に弱く限界温度があるが、急激な高温にさらされると細胞内の温度が急上昇し限界温度を超えてしまい対応できなくなる。
▶もくじ

【5月10日】これはまだマトモなクチです。一応花が終わりましたので剪定と植え替えを行いました。

株への負担を減らす為に傷んだ枝葉は極力取り除き、各節からの新芽が芽吹きやすくしました。頂芽からは側芽の成長を抑えるホルモンを分泌していますので、頂芽を切り取ることで側芽の成長が促されます(頂芽優勢の打破)。
根鉢を1/3ほど崩し、古い土や傷んだ根なども取り除き、3号(9cm)ポリポットに赤玉土(小粒)7:腐葉土3の配合の土で植え替えました。

植え替え後は、根が新しい土に馴染む2週間ほどは明るい日陰で管理し、その後徐々に日に当てるようにしました。液体肥料もその頃から開始しました。
▶もくじ

【7月21日】5月10日の切り戻しから2か月強(72日)になりました。丸坊主だった茎もにぎやかになり、新芽は約3cm(成長点まで)伸びています。
春から秋は日当たりが良く雨のかからない場所、夏は直射日光の当たらない明るい日陰、いずれも風通しの良いことが理想の置き場所になります。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与え、夏の間だけは10日に1回の液体肥料は控えます。
▶もくじ

【5月10日】剪定枝から挿し穂を6本確保し、さっそく水挿しにしました。切り口は特に乾燥させたりはしていません。梅雨時の湿度の高い時期の土挿しでは、念のために切り口を乾燥させてから挿した方が良いかもしれません。

【5月23日】明るい日陰に置いて13日後現在、ダメージが大きかったせいか2本しか発根していませんでした。生育の良い優良株だけを残すことにし、

3号ポリポットに赤玉土(小粒)7:腐葉土3の配合の土で鉢上げしました。

【7月21日】5月10日の水挿し開始から2か月強(72日)になりました。挿し木苗の草丈は約6cm(成長点まで)になっています。
▶もくじ
そこで夏にも剪定して低く抑えたり、挿し木で更新することで少しだけ引き締まった姿に変えることができます。カランコエは短日植物で秋に花芽を形成しますので、伸び過ぎたからといって秋以降に剪定すると花芽を切ることになります。
▶もくじ

【7月21日】親株(植え替え株)は3cmほどしか成長していませんので現状のままとし、こちらの挿し木苗を地際から3節目の上で切り戻しました。

草丈2.5cmになりました。夏の剪定あるなしの比較をするために、1本は現状維持としました。
▶もくじ

バジルの葉挿しでご紹介した特製「水挿しキット」です。900㎖に280㎖のペットボトルがスッポリと収まるのを利用しています。挿し穂が1本の場合、安定しますので移動も水の交換もラクチンです。

【7月21日】春に挿した挿し木苗の剪定枝を使っての夏の挿し木です。花芽形成時期は秋ですので、今から挿しても来春の開花期に十分間に合います。

挿して13日後の8月3日、やっと発根しました。さらに8日後、まずまずの発根量になりましたので、

【8月11日】 鉢上げしました。
▶もくじ

10月23日、蕾が上がってきました。カランコエは短日植物ですので、夜の時間が長くなる(日照時間が短くなる)と花芽を形成する性質があります。夜間、室内の蛍光灯や屋外の街灯が当たる場所に置いていると、まだ昼間の方が長いと勘違いして、いつまでたっても蕾を作ることができません。
▶もくじ

11月5日、花茎が伸びてきました。このポット苗は、5月10日に剪定・植え替えをした親株です。

挿し木苗は室内越冬を前にプラ鉢に植え付けておきました。右側が夏の切り戻しをしなかった苗、左が切り戻した苗です。

こちらはその切り戻した枝を夏挿しした苗です。
蕾のできた順番は、植え替え親株>夏剪定無し苗>夏挿し苗>夏剪定有り苗・・・となりました。
【12月23日】

植え替え親株が開花しました。
【12月28日】

夏剪定無し苗が開花しました。
【2月8日】

中央奥の夏挿し苗が開花しました。
【2月11日】

前列左の夏剪定有り苗も開花しました。右側は夏剪定無し苗です。切ると切らないで開花スタートに45日のズレがでました。2つの方法を併用すると花を長く楽しむことができます。
【2月24日】

12月23日に咲き始めた植え替え親株が、ほぼ満開を迎えました。

白い花に、

オレンジ色の花、

その中間の色も。みんなちがって、みんないい。
この八重咲のカランディーバ、元々は白とピンクの2種類ありました。ピンク種ははてさて…。
ともあれ、


カランコエ再生計画は無事成功を収めました。
▶もくじ
動画(スライドショー)はこちらです
※ 画面をクリックするとYouTubeに移動します
もくじ
1 梅雨明け後の夏の日差しにご用心2 春の切り戻し
2.1 切り戻しと植え替え
2.2 置き場所と水やりと肥料
2.3 春の挿し木
3 夏の切り戻し
3.1 地際から3節目あたり
3.1 夏の挿し木
4 カランコエは短日植物
4.1 限界暗期
4.2 短日処理
5 開 花
梅雨明け後の夏の日差しにご用心

昨年の梅雨明け直後に真夏の日差しに数日間当ててしまい、葉焼けを起こしてからは元気のないままで、再生させるには暑すぎる時期でしたので翌春まで待つことに(写真は今年の5月10日現在のものです)。
葉焼けを起こす仕組みは二つあります。
※強い光の元に置かれた植物は、光合成に利用する以外の余った光エネルギーによって活性酸素が発生し、それが細胞に悪さをする。
※細胞は高い温度に弱く限界温度があるが、急激な高温にさらされると細胞内の温度が急上昇し限界温度を超えてしまい対応できなくなる。
▶もくじ
春の切り戻し

【5月10日】これはまだマトモなクチです。一応花が終わりましたので剪定と植え替えを行いました。
切り戻しと植え替え


株への負担を減らす為に傷んだ枝葉は極力取り除き、各節からの新芽が芽吹きやすくしました。頂芽からは側芽の成長を抑えるホルモンを分泌していますので、頂芽を切り取ることで側芽の成長が促されます(頂芽優勢の打破)。
根鉢を1/3ほど崩し、古い土や傷んだ根なども取り除き、3号(9cm)ポリポットに赤玉土(小粒)7:腐葉土3の配合の土で植え替えました。
植え替えのシーズンを迎え、今一度頭の隅に入れておくために、個別記事に分散していた内容を一つにまとめてみました。もくじ1 植え替えが必要なわけ 1.1 根は酸素も吸っている...

植え替え後は、根が新しい土に馴染む2週間ほどは明るい日陰で管理し、その後徐々に日に当てるようにしました。液体肥料もその頃から開始しました。
▶もくじ
置き場所と水やりと肥料

【7月21日】5月10日の切り戻しから2か月強(72日)になりました。丸坊主だった茎もにぎやかになり、新芽は約3cm(成長点まで)伸びています。
春から秋は日当たりが良く雨のかからない場所、夏は直射日光の当たらない明るい日陰、いずれも風通しの良いことが理想の置き場所になります。水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与え、夏の間だけは10日に1回の液体肥料は控えます。
▶もくじ
春の挿し木


【5月10日】剪定枝から挿し穂を6本確保し、さっそく水挿しにしました。切り口は特に乾燥させたりはしていません。梅雨時の湿度の高い時期の土挿しでは、念のために切り口を乾燥させてから挿した方が良いかもしれません。


【5月23日】明るい日陰に置いて13日後現在、ダメージが大きかったせいか2本しか発根していませんでした。生育の良い優良株だけを残すことにし、

3号ポリポットに赤玉土(小粒)7:腐葉土3の配合の土で鉢上げしました。

【7月21日】5月10日の水挿し開始から2か月強(72日)になりました。挿し木苗の草丈は約6cm(成長点まで)になっています。
▶もくじ
夏の切り戻し
市販の鉢植えは矮化剤(わいかざい)が使用されていて、茎の成長が抑えられているので節間が詰まり、その分下葉が肥大化してとても立派です。矮化剤が効かなくなると本来の上への成長を始め、なんだか間延びした姿にガッカリさせられます。そこで夏にも剪定して低く抑えたり、挿し木で更新することで少しだけ引き締まった姿に変えることができます。カランコエは短日植物で秋に花芽を形成しますので、伸び過ぎたからといって秋以降に剪定すると花芽を切ることになります。
▶もくじ
地際から3節目あたり

【7月21日】親株(植え替え株)は3cmほどしか成長していませんので現状のままとし、こちらの挿し木苗を地際から3節目の上で切り戻しました。

草丈2.5cmになりました。夏の剪定あるなしの比較をするために、1本は現状維持としました。
▶もくじ
夏の挿し木


バジルの葉挿しでご紹介した特製「水挿しキット」です。900㎖に280㎖のペットボトルがスッポリと収まるのを利用しています。挿し穂が1本の場合、安定しますので移動も水の交換もラクチンです。
生育旺盛なバジル、先日ご紹介した挿し木(茎挿し)でも本領を発揮しました。そこで、多肉植物よろしく葉っぱを挿す葉挿しではどうなのか、根は出ないのか、根は出るが芽は出ないのか...

【7月21日】春に挿した挿し木苗の剪定枝を使っての夏の挿し木です。花芽形成時期は秋ですので、今から挿しても来春の開花期に十分間に合います。


挿して13日後の8月3日、やっと発根しました。さらに8日後、まずまずの発根量になりましたので、

【8月11日】 鉢上げしました。
▶もくじ
カランコエは短日植物

10月23日、蕾が上がってきました。カランコエは短日植物ですので、夜の時間が長くなる(日照時間が短くなる)と花芽を形成する性質があります。夜間、室内の蛍光灯や屋外の街灯が当たる場所に置いていると、まだ昼間の方が長いと勘違いして、いつまでたっても蕾を作ることができません。
限界暗期
蕾ができるかできないかの境目となる夜の長さを限界暗期と呼び、短日植物は限界暗期以上の暗闇を感じると蕾を作ります。ちなみに、暗闇の長さを計るのに、多くの植物がわずか15分間の違いをちゃんと識別しているそうですヨ。短日処理
「短日処理」をすると開花時期を早めることができます。簡単なのは段ボールなどを被せて夜の時間を長くする方法です。夜間、どうしても明るい室内に置かざるを得ない場合も有効です。カランコエは“短日植物”と呼ばれ、日の長さが短くなる<日照時間が12時間以下>と花芽をつける植物です。(正確には暗期(夜)が一定時間より長くなると花芽をつけるのだそうです)普通に栽培していると開花するのは早春になりますが、年内に花を咲かせてみたいので短日処理に挑戦しようと思います。..
▶もくじ
開 花

11月5日、花茎が伸びてきました。このポット苗は、5月10日に剪定・植え替えをした親株です。

挿し木苗は室内越冬を前にプラ鉢に植え付けておきました。右側が夏の切り戻しをしなかった苗、左が切り戻した苗です。

こちらはその切り戻した枝を夏挿しした苗です。
蕾のできた順番は、植え替え親株>夏剪定無し苗>夏挿し苗>夏剪定有り苗・・・となりました。
【12月23日】

植え替え親株が開花しました。
【12月28日】

夏剪定無し苗が開花しました。
【2月8日】

中央奥の夏挿し苗が開花しました。
【2月11日】

前列左の夏剪定有り苗も開花しました。右側は夏剪定無し苗です。切ると切らないで開花スタートに45日のズレがでました。2つの方法を併用すると花を長く楽しむことができます。
【2月24日】

12月23日に咲き始めた植え替え親株が、ほぼ満開を迎えました。

白い花に、

オレンジ色の花、

その中間の色も。みんなちがって、みんないい。
この八重咲のカランディーバ、元々は白とピンクの2種類ありました。ピンク種ははてさて…。
ともあれ、


カランコエ再生計画は無事成功を収めました。
▶もくじ
動画(スライドショー)はこちらです
※ 画面をクリックするとYouTubeに移動します

- 関連記事