ときどきガーデニング&ときどき家庭菜園

    ヤマブキの八重咲き:ABCモデル

    2018年04月11日
     八重咲きシリーズの第4弾はヤマブキです。


    八重ヤマブキ

    ヤマブキ0
     バラ科ヤマブキ属の落葉低木で、原産地は日本及び中国です。株は直立し、細くて柔らかいので先端は枝垂れます。我が家では絶滅寸前でしたが挿し木で復活させて、今では地下茎を伸ばしてどんどん勢力を伸ばし、いつにも増して山吹色が眩しく感じます。

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    八重の出現:ABCモデル

     ヤマブキの八重は「雄しべが弁化して雌しべは退化している」と言われています。今回もABCモデルで見ていこうと思います。
     
     花の構造は外側から順に「ガク」「花弁」「雄しべ」「雌しべ」と同心円状に並びますが、その配置を決めているのがA、B、Cという3つの遺伝子です。

    基本形

    ABC基本

      A遺伝子だけが働くと「ガク」が、
      AとB遺伝子が働くと「花弁」が、
      BとC遺伝子が働くと「雄しべ」が、
      C遺伝子だけが働くと「雌しべ」ができます。

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    八重咲きⅠ

    ABC八重1

     A遺伝子とC遺伝子はお互いの働きを抑制する関係にあり、どちらかの遺伝子が機能を失うともう一方がその領域を補完するように働きます。例えば、C遺伝子の発現が弱くなるとA遺伝子が雄しべの領域まで達し、本来は雄しべになる場所が花弁に変化して八重になります。

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    八重咲きⅡ

    ABC八重2

     さらにC遺伝子が欠損するとA遺伝子が雌しべの領域まで達し、雌しべの代わりにがくを作ります。雌しべを作る指令を出す遺伝子は、雌しべができると新たな器官が出来ないようにする働きがありますが、C遺伝子が欠損するとこの作用が働かなくなります。
     
     また、C遺伝子によって抑制されていた分裂組織の増殖を促進する遺伝子が働くようになり、花の内側に新たな花が作られ、それが繰り返す構造になります。内側の花はガクと花弁が交互に作られたり、花弁だけであったり、雄しべの特徴も兼ね備えた中間的な器官になることもあります。

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    雌しべも弁化?

    ヤマブキ1 ヤマブキ3
     ネットで検索すると八重ヤマブキは「雄しべは弁化して雌しべは退化している」との記述が見られますが、中心部に何やら緑色したひも状のものが見えます。気になりますのでピンセットで花弁を取り除いてみました。

    ヤマブキ4 ヤマブキ5
     外側の30枚ほどは花柄は短いですが、中心に向かうほど雄しべの名残が見えてきます。花糸の先端に葯があって、葯の周りから花弁が生えてきた、みたいな…。

    ヤマブキ6
     あと少し。左側が花弁で、それとは明らかに構造の異なるひも状のものが見えてきました。

    ヤマブキ7
     正体を現しました。

    ヤマブキ8
     5本の緑色したひも状に花弁がまとわりついています。下部にはふくらみも見えます。これは雌しべの名残ではないでしょうか。

    ヤマブキ9
     他の花でも試してみました。こちらは花弁がらせん状に付いています。

     ヤマブキの八重咲きは確かに「雌しべの機能としては退化している」のですが、「雌しべも弁化している」と表現した方がイメージとして分りやすいのでは?と思うのですが、さて。前出のABCモデルのパターンとしては八重咲ⅠとⅡの中間に相当するのでしょうか、浅学では断定できません。もう少し調べてみます。

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